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今は5月。
学校には7月に入学する予定だ。
今朝、久しぶりに成田で再会した彼は、やっぱりドキッとするほどの男前。
薄いピンク地のシャツにグレーのジャケットでノーネクタイ。
長い髪を後ろで括り、サングラスをかけた姿は、どう見てもハリウッド俳優かスーパーモデル。
通りすがりの人、特に女性が、ちらちらと彼を気にしてる。
見送りに来たママも、もちろんぼーっと見とれている。
「やあ、薫」
「ベルナルドさん、娘をどうかよろしくお願いいたします」
「どうぞご安心を。彼女のことはお任せください」
ベルナルドさんはママに握手を求めた。
おずおずと手を出し、その手を握ったとたん、ママの顔は真っ赤になった。
彼の破壊力って、本当にすごい。
「薫ちゃん、向こうに着いたら、すぐ連絡してね。あー、でも本当に心強いわー。こんな素敵な婚約者がそばにいてくれるんですもの」
わたしの両親にも、〝婚約者のフリ〟の話はしていなかった。
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