1・超快適な 空の旅

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 しどろもどろで話しはじめたわたしの情けない顔を見て、彼はクスッと笑いながら、今度は日本語で「嘘だよ。いいぞ、日本語で話しても」と言った。  くーーーーっ、また、からかわれた。  くやしい、いつか仕返ししてやる。  と、心のなかでは思ったけど、今はまだ倍返しされそうなので、おとなしく香水と出会ったきっかけを話しはじめた。 「はじめて香水に出会ったのは、小学校2年生のときなんです」    世の中にこんなに魅力的なものがあるのかと、その夜は興奮して眠れなかった。  でもなぜ子供のわたしが、そんなに香水に惹かれたのか。  それは、祖母のおかげ、いや祖母のせいだった。  公家の血筋である父方の祖母は、室町時代から代々受け継がれてきた香道のお家元の出身。  久世家に嫁入りした者はかならず、師範である祖母の元で、香道を(たし)まなければならなかった。
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