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鹿肉のコンフィを優雅に口に運びながら、ベルナルドさんは言った。
「本当に厳しい人で。子供のころは会うのが怖くて……今も怖いですけど」
「うちの祖母も同じようなものだったよ。私の場合は日本語を勉強させられたんだが」
「子供のころから習っていたんですか。だからそんなにお上手なんですね。日本語」
「まあ、今となっては役に立っているがね。こうして薫とも不自由なく話ができるし」
そう言うと、ちょっと顎をあげて、流し目でこっちを見た。
その顎のラインがとっても美しくて。
つい見惚れてしまうんだよな。
こんな麗しい横顔とかされちゃうと……
(ほら、言った通りでしょ。好きにならないはずないんだから)
と、目の前に楓の得意げな顔が浮かんでくる。
ち、違うって。
別に好きとかそういうのじゃ……
と、あらぬ方向に気持ちが行きそうになるのをあわてて引き留めた。
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