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「薫のフランス語もこのぐらいにならないとな」
「いや、それは無理ですって」
「おや? やる前から無理なんて言うのか、薫は」
うーーーーーーっ!。
「が、頑張ります」
もう、なんか超スパルタ家庭教師と旅してるみたい。
先が思いやられる……
これ以上、まずいこと言われても困るので、わたしは先を続けた。
「それで、ちょうどそのころ、香水に出会ったんです」
年上のいとこの部屋に遊びに行ったときだった。
淡いピンク色をしたガラス瓶に、一目で惹きつけられた。
キラキラ輝くラインストーンで飾られたそれは、まるでおとぎ話のお姫様の宝物のようだった。
「これなに?」
「香水だよ」と言って、いとこはわたしの手首に少しだけつけてくれた。
「うわー、いい匂い!」
香りを嗅いだだけで、こんなに晴れやかな気持ちになれるなんて!
同じ香りを楽しむものでも、香道とはぜんぜん違う!
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