2・好待遇の見返りって、あり?なし?

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「いや。私が一緒に行ってみたいんだよ。薫がはじめてエッフェル塔とご対面するとき、どんな顔をするのか、ぜひ見てみたくてね」  思わず振り向いて、彼の顔を見てしまう。  目を細めてこっちを見ているまなざしはなぜか、とても優しい。  いつものからかい口調のベルナルドさんとギャップがありすぎて。  なんか調子が狂って、鼓動がせわしなくなってくる。  いや、この動悸はシャンパンの酔いが回ったせいだ。  そう思っておくことにしよう。  そうこうするうち、パリの中心部の、ある建物の前でリムジンは音もなく停車した。 「さて、着いたぞ」 「えっ、ここ? なんで?」  着いたところは、アーチが整然と並び、白い日よけが印象的なホテルの車寄せ。  ここって……  『オテル・リッツ』じゃない!?  言わずと知れた、長い歴史を誇る、パリ最高級ホテルのうちのひとつの。 「ボンソワール、マドモアゼル」
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