2・好待遇の見返りって、あり?なし?

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 紺色の制服のベルボーイが車のドアを開けてくれた。   「えっ、てっきりアパルトマンに行くもんだと思ってたから」 「ああ、前に私が住んでいたところに入る予定なんだが、水回りのリフォームが間に合わなくてね。とりあえずの住まいはここ」 「とりあえずって……」  わたしは絶句した。 「中心部だから仕事に行くにも便利なんだよ。ああ、心配しなくてもちゃんと別室を取ってある」  そんなことじゃなくて。  いや、それも大事なことだけど。  一泊いくらするんだろう。  彼のことだから、当然スイートルームだよね。  30万、いや、50万ぐらい?  しばらくここに滞在って言ったよね。  長期で割引が利くとしても……  だめだ。  計算しようとしたら頭がフリーズした。  自分のことを〝お嬢様〟だのなんだの、と言ってたことが恥ずかしい。  穴があったら入りたい。  さすが世界トップ5に名を連ねる大富豪。  レベルが段違い。
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