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「安心しろ。言っただろ? 子供に手を出す趣味はないって」
彼は部屋を横切り、窓際に置かれたソファーに坐り、右脚を高く上げてから、長い脚を組んだ。
もう、この人、わたしが考えていること、何でもお見通しなんだから、イヤになる。
いや、それだけ分かりやすいってことか、わたしが。
気を取り直して、彼の前まで行き、そして頭を下げた。
「あの、ありがとうございます。でも、まさかリッツに泊まれるなんて想像もしていなかったんで、正直戸惑ってます」
彼は少し首をかしげた。
「だってどこかには宿泊しなければならないだろう?」
「いえ、でも、リッツだなんて思っても見なかったので……」
「そう? 私の常宿はここだから他は思いつかなかったんだ。ああ、そんなことより食事に行かないか? 面倒ならルームサービスを頼んでもいいが」
食事の相談に来てくれたのか。
まったく……
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