2・好待遇の見返りって、あり?なし?

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 わたしは自分にツッコミを入れた。  自意識過剰すぎるって。 「いえ、機内食をたくさんいただいたので、あまり食欲がなくて。どっちもいらないです」 「夜中に腹がへっても知らないぞ……お、そうだ。いいものがある」  ちょっと待っててくれと言って、彼は自分の部屋に戻っていった。  しばらくしてから、白のプラスチック容器を両手に持って、戻ってきた。 「これならどう?」  カップ麺だ。 「わ、それは食べたい!」  わたしは思わず大きな声を上げた。  その反応を見て、ベルナルドさんは〝だよな〟という顔で頷いた。 「こっちに戻ると、なぜか無性に食べたくなる。東京ではあまりそんなことないんだが」 「お湯沸かしますね」  わたしはいそいそとポットでお湯を沸かし、カップに注いだ。 「ああ、箸忘れた」  そう言って、彼はまた自分の部屋へ。  カップ麺のいい匂いが部屋に充満してくる。
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