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「ムッシュー・ベルナルド、すみません、その娘を捕まえておいてください」
ムッシュー・ベルナルド……あっ!
そういえば、ベルナルドとか言ってたっけ?
今日会う相手の名前。
じゃあ、この人が……。
やばっ。
逃げようとしたけれど、どうしても彼の手を振りきれない。
あーん、最悪!
「逃げるなって。忙しいなか、わざわざ時間を割いて来ているのに。無駄足を踏ませる気か」
そう言われて、袖だけじゃなく、腕までガシッと掴まれてしまった。
「いいから、離してよ!」
ロビーにいる人たちが振袖姿でジタバタしているわたしに好奇の視線を送ってくる。
もう、恥ずかしいったらない。
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