2・好待遇の見返りって、あり?なし?

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 そうだ。  「フリ」はふたりしか知らない話。  わたしは彼の「婚約者」なのだ。  だからホテルのスタッフもあれほど丁重に扱ってくれるのか。 「はい。では……ルイ」 「よし。それでいい」  彼はわたしの頭を撫でてくる。  飼い犬をかまうような仕草で。  見上げると、危うさなんて微塵もない、ただ優しいだけの視線。  曲がりなりにも、ホテルの部屋でふたりっきりなのに。   彼にとってのわたしは、ガキ以外の何者でもない。  言葉や態度で、そのことをイヤというほど教えてくれる。  うん。よーくわかってますって。そんなこと。  でも、ちょっとだけ、胸の辺りがモヤモヤするのはなんでだろう?    ひとの気も知らずに、ルイはテーブルの上のカップ麺のフタを上げて、匂いを嗅ぐ。 「うーん。食欲をそそる匂いだ。さ、食べよう。麺が伸びるぞ」 「はーい。 いただきます」
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