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そのなかにあって、ルイはすっかりお仕事モード。
チャコールグレーの三つ揃いのスーツに臙脂色のタイ。
相変わらず、おしゃれ。
何を着ても、本当によく似合う。
彼はせわしなくコーヒーを飲みクロワッサンだけ食べると、立ち上がった。
「ほったらかしですまないな。帰ったばかりで仕事が山積していてね」
「大丈夫。単独行動、大歓迎です。パリの地図ならしっかり頭に入ってますから」
わたしは自分の頭を人差し指でつんつんとつついて見せる。
「頼もしいな。だが、着いたばかりだ。張り切りすぎるとバテてしまうぞ」
「大丈夫。体力はあるんで。若いから」
「それは……暗にわたしが年寄りだと言っていると聞こえなくもないが」
ルイは苦笑して、仕事に出掛けていった。
それからの3日間。
わたしは文字通り、朝から晩まで、精力的にパリの街をぐるぐる歩き回った。
なにしろ、ずっと焦がれつづけた憧れの地にいるのだ。
とてもじゃないけど、じっとしてなんかいられない。
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