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結構、執念深いな。
「さて、行かなければ。薫はゆっくり食べていきなさい」
「は……クシュン」
返事をしようとしたら、くしゃみが出た。
「風邪をひいたのか?」
「うーん、平気だと思いますけど。花粉症かな? 少し頭が重いし。でも、そう言われると、ちょっと寒気も」
ルイはテーブルを回って、わたしの目の前に立った。
身をかがめた。
顔が近づいてくる。
そして、片手でわたしの後頭部を支えて、額を合わせた。
えっ?
「うん……少し熱いような気もするが……今日はちゃんと部屋で休んでおけよ。じゃあ、行ってくる」
そういって、時計を気にしながら出かけていった。
ぽけーっとしてしまった。
接近してきた、彼の美しい顔の残像が消えない。
まだ額に感触も残っている。
なんだか……
急に、顔がほてってきた気がする。
ルイのせいだ、きっと。
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