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「そんな気は使わなくていい。ひとりでは心細いだろう。着いたばかりの異国で病気にかかったんだ」
そう言って、汗で額にくっついていたわたしの髪を耳にかけてくれた。
だから……
また熱が上がっちゃうって。
そんなことされると……
熱で潤んだ目で見つめると、ルイは柔らかく微笑んだ。
そのとき、ドアベルが鳴った。
「おっ、思ったより早かったな」
ルイがドアを開けるとドームカバーをかぶせた皿をワゴンを載せて、ベルボーイが部屋に入ってきた。
「Merci(ありがとう)」
そう言って、チップを渡すと、ルイは自分でベッドの横までワゴンをもってきてくれた。
「ほら、厨房に頼んで作ってもらったんだぞ」
そう言って、得意げな顔でドームカバーを外した。
出てきたのは、真っ白な……
リゾット?
あ、お粥……だ。
「日本では具合の悪いとき、これを食べるんだろう?」
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