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クリスマスを前にしてそれとなくプレゼントに何が欲しいのか探りを入れたところ、息子の幸之助はとんでもない事を言い出した。
「パパさあ、サンタクロースはもう死んでるんだよ」
私は驚きすぎて目の動きを止める。
「聖ニコラウスって人がモデルなんだよ。パパだってそれくらい知ってるでしょ?」
「な、何言ってるんだよ」
「そういうお話をもとにして大人たちが子供にプレゼントくれてることくらいわかってるよ。でもさぁ、もう僕だってそろそろ小学生になるんだから、いい加減わざとらしいことするのやめてよ。ふつうにクリスマスプレゼント何がほしいって聞いてくれた方がうれしいよ」
「お、おい、幸之助、だってお前、サンタさんに貰って、去年は嬉しそうにしてたじゃないか。何でそんな事、急に」
幸之助はため息をついて濡れた髪をバスタオルで拭きながらソファに上るようにして座った。幸之助は風呂から上がったばかりだった。
「むかしからさ、僕の相手するのがめんどうになったらすぐ動画見せはじめてさ。そうしてけばおとなしくしてるって思ってるんでしょ。でもそんなんだとこっちだってヒマなんだから、いろいろ調べたりするのうまくなるんだよ。どうして僕たちをだましたいのか知らないけど、こっちだってバカじゃないんだからさ、いいかげん子供だましなこと、やめてほしいんだよね」
「こ、幸…」
「だいたいさ、ママ風邪ひいて寝てるんだから、僕のことよりママの心配しなよ」
幸之助は呆れたような口調でそう言うと、ぽんとソファーから飛び降りて、足早に部屋を出ていった。
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