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「友達っていうか、親友」
「あー、はい、そうね。片山亜紀、親友」
時任さんが面倒くさそうに訂正するのを、その人は満足げに聞いていた。
「夏菜子ちゃんの彼氏に改まって紹介してもらえるなんて、初めてでなんかドキドキする」
「会わせろって亜紀が散々うるさく言ったからでしょー?!……それにしてもまた、小洒落た店だねぇ?城崎くんと来たことあるの?」
「うん。ワインカクテルとか、果実酒とか美味しくて、女子会向きかなって」
女子会って、俺もいるんですけどね、と口を挟みたくなるのをぐっと堪える。
「はじめまして、的場です」
「片山です」
短く答えたその人は、無遠慮なほどの視線を向けてくる。あきらかに観察されている。
「なんか若い……まさか学生さん?」
「いえ、社会人です、けど」
「年下……?いくつ?」
「25です」
「25……?見た目よりはいってる……でも25で婚活?なぜ?」
あ、あー……この人、事情は全然知らされていないんだ。
「婚活っていうか、後輩です、同じ課の」
「課の後輩……え?後輩?」
「そうですけど」
ぐりん、と音がしそうな勢いで、片山さんが時任さんに向き直る。
「え、夏菜子ちゃん、なにこれ」
「なにって」
「面倒だから社内恋愛はしないんじゃなかったの」
「そのつもりだったよ」
「若い子と遊んでる場合じゃないから年上狙いだって」
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