133人が本棚に入れています
本棚に追加
私の夏菜子ちゃんの素晴らしさ、て、躊躇いなく言ったよこの人。
つーか、こういう実力ある系の美人にマジになられると妙な迫力あんな、どうしよう。
異様な圧にどう答えたものかと考えていると、横からにゅっと、ドリンクメニューが差し出された。
「亜紀、攻撃的すぎ。初対面でなにやってんの」
「だ、だってさあ?!」
「まぁとりあえず、もう少し穏やかに飲もうよ」
「私、どうせ飲んだってさほど酔わないもん」
「知ってるけど」
隣を見る。
左手で頬杖をついた時任さんが、いつもの黒くてはっきりした目で、真っ直ぐ、柔らかくない視線を前に向けていた。
ああこの人、親友にも、こういう目をするんだ。そりゃそうか、親友にこそ、取り繕ったりしないのか。
「いいから、とにかく、落ち着きな」
時任さんから、冷ややかな気配が流れ出る。
しばらく固まっていた片山さんは、しゅんとした様子で微かに唇をとがらせ、小さく返事をする。
「……はい」
目の前では片山さんが、面白くなさそうに、差し出されたメニューを見下ろしている。いつの間に飲んだのか、さっき来たばかりだったはずのグラスは、確かにもう空いていた。
最初のコメントを投稿しよう!