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頬の横で、氷の沢山入ったレモンイエローのグラスがカシャカシャ振られる。
「ねえ?的場くん?そう思うよねぇ?」
学歴高くておそらく仕事もできて、でも色々ダメで、すごい彼氏?がいて酒豪で、時任さんのことを溺愛しているというその人のお眼鏡に、理由は全く不明だけど、どうやら俺は、適ったようだった。
この人の、どこがどうダメなんだろう?全然、そうは見えないけれど。
普通に見える普通に綺麗なこの人との付き合いが、今後、否応なく続いていくのだろうか。
「的場くん」
「はい」
「これが亜紀」
「はい」
「ちょっと極端だけど、悪い子じゃないの。あと、そのうち会うこともあると思うけど、亜紀の彼氏の城崎くん、てのが、またなぁ……」
「ああ、例のすごい彼氏、ですか?変わってるんですか?」
「変わってる、わけではないんだけど、なんだろ……強烈な溺愛キャラだから」
「また?」
「あと背がでかい、たぶん峰岸さんより」
「えええ……」
これまたこっちのコンプレックスを抉ってきそうだな……次はどんなのが登場するんだよ、と考えている横で、時任さんと片山さんが、簡単な近況報告をしあっている。
新しい料理が届き、片山さんがまたいつのまにか、空にしたグラスを渡しながらおかわりを頼んでいる。
たしかに酒豪だ……すげーペース早い。
本当によく飲むなと見ていたらふと見返されて、ばっちり目が合ってしまう。
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