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食い下がってくる澤田から、一歩下がって距離を取る。 「時任さんが食べながら見てくれるんなら、それが一番早いし。じゃあ」 「えー、的場くん?」 いやもうこれ以上、話すことないし、めんどくせぇ…… 足早に部署に戻る。時任さんは席にいて、パソコンを覗き込んでいた。 自分のデスクに戻って取り急ぎデータを転送する。 「すみません遅くなって、今送りました」 「ありがとう。ごめんね、昼休み始まってたのに。ご飯食べに行っちゃっていいよ」 「いえ、遅れてすみませんでした。ところで、時任さんは昼食は……」 「あー、後で適当に買いに行くから」 「じゃあ、報告書見てもらってる間に、買ってきます。なんでもいいんですか?」 「え?あ、うん、いいの?」 予想外だったのか、時任さんが少し驚いたように目をあげる。 いつもより、素に近いように見える目。 「そのあと食べながらでも、ざっとフィードバック頂けるとありがたいです」 「あー、うん。それは、するけど……」 きょとんと、不思議そうな顔をしている。 「さっきの子と、お昼行かなくていいの?」 「いいんです別に」 「昼まで私と仕事の話なんかして、疲れない?」 「いえ、全然」 全然、疲れたりなんかしないっすよ。 澤田にろくでもない愚痴聞かされるよりも、全然。
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