135人が本棚に入れています
本棚に追加
食い下がってくる澤田から、一歩下がって距離を取る。
「時任さんが食べながら見てくれるんなら、それが一番早いし。じゃあ」
「えー、的場くん?」
いやもうこれ以上、話すことないし、めんどくせぇ……
足早に部署に戻る。時任さんは席にいて、パソコンを覗き込んでいた。
自分のデスクに戻って取り急ぎデータを転送する。
「すみません遅くなって、今送りました」
「ありがとう。ごめんね、昼休み始まってたのに。ご飯食べに行っちゃっていいよ」
「いえ、遅れてすみませんでした。ところで、時任さんは昼食は……」
「あー、後で適当に買いに行くから」
「じゃあ、報告書見てもらってる間に、買ってきます。なんでもいいんですか?」
「え?あ、うん、いいの?」
予想外だったのか、時任さんが少し驚いたように目をあげる。
いつもより、素に近いように見える目。
「そのあと食べながらでも、ざっとフィードバック頂けるとありがたいです」
「あー、うん。それは、するけど……」
きょとんと、不思議そうな顔をしている。
「さっきの子と、お昼行かなくていいの?」
「いいんです別に」
「昼まで私と仕事の話なんかして、疲れない?」
「いえ、全然」
全然、疲れたりなんかしないっすよ。
澤田にろくでもない愚痴聞かされるよりも、全然。
最初のコメントを投稿しよう!