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「的場くん、ここへの異動は、希望だったんだって?」 「あ、はい、そうです」 峰岸さんは少し、不思議そうな顔をした。 「素朴な疑問だけど、なんで?君、営業部でわりと期待されてたって、向こうの同期に聞いたんだよな。まあ確かに……綺麗な顔してるもんな、営業向き」 「そうですか?別に普通です」 顔のことを言われるのは、あまり好きではない。 綺麗な顔というか、いわゆる童顔で、子供っぽく見られる。上背もなく、170㎝弱、と聞かれたときは答えているけれど実は167㎝ほどで体躯も細い。筋肉がつきにくくて、これでも高校まではきっちり運動部だったことは、自分から言わなければ察してはもらえない。 「部署としては営業のほうが人気だろう?派手だし、花形部署だし」 「そうですか?元々、管理部門が志望でした。ただ、入社すぐでの配属は営業だったので、それはそれで経験すべきと思って取り組んだのですけど、人事面談の時に希望はあるのかと聞かれたので、正直に言ったら異動になりました。」 「法務が希望って?」 「いえ、ざっくり、できれば管理部門が希望だと。法務になった理由は不明です」 「法務になった理由は、単純に人手不足だったからかなぁ?実は結構、忙しいんだよな、ここ」 峰岸さんは苦笑する。
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