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抱えていたダンボールを、どさっとデスクに置く。 「よろしくお願いします。的場友樹(まとばともき)、です」 「はい、よろしく。時任(ときとう)です。5年目だから、ここでは、あなたのすぐ上の先輩、てことになるかな」 忙しく動いていた手を止めて、目を合わせてくれる。やはり笑顔はなく、でも、つんけんしているというわけでもない。 妙な求心力を感じるな なんというか、つい見ていたくなるような やっぱり目だよな……大きいし。黒く、強く、真っ直ぐ届く。でも暗くはない、少しきらめくような、綺麗な目。 「ここの席って、前、誰か居たんですか?」 「そう、こないだまで1期下の後輩が……」 「辞めたんですか?」 「うん、まあ、いわゆる寿退社」 前任者は女性か……その人が欠けて、この課は時任さんの紅一点となったわけだ。 「そうですか」 「的場くんは営業からの異動だってね。業務内容は全然違うと思うけど、まぁ、とりあえずしばらくはなんでも聞いて」 「はい」 「どうぞ遠慮なく」 「はい、ありがとうございます」 時任さんはまた、じっと見る。笑わない。笑わないけれど。 嫌な感じもしないよな。 俺もそんな、できれば不必要に笑いたかはないし。 すっと視線が逸れたのを機に、段ボールからデスクに荷物を移していく。 カタカタカタカタと小気味良いリズムで、隣の席のキーボードが鳴っていた。
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