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入社してすぐの配属は営業部だった。まだなんの評価もない新入社員の配属がそこだったということは、つまり、初対面の峰岸さんに指摘された通り、見た目が営業向きだったということなのだろうか。 学生時代から、あまり、人間関係に悩むということはなかった。背が低く体が華奢なのが自分としてはコンプレックスだったけど、それでもすごくチビで貧弱というほどでもなく、顔だけ見れば、わりと万人受けするタイプだった、らしい。 いわゆる優男、女顔に類する顔で、しかも童顔。周囲からは、かわいいとか子犬系とか思われていることは知っていた。 それが不本意ではあったけど、けど、いきなり童顔を返上できるわけもなく、自分の容姿をどうすることもできない。 個人的にはもっとガタイのいい見た目も男っぽい顔が、いわゆるいい男だろうと思っていた。けれどこんな柔っこい容姿を好む女子も結構いるようで、だから告白されたり、なんとなく付き合ってみたりというのは高校1年くらいから。はじめてのキスもセックスも高校時代、まあまあ早かったほうではないか。  だけどだからといって、リア充全開で青春を謳歌していたのかといえば、そうでもない。 小学校から高校まで、ずっと野球をやっていた。けど、貧弱な体躯はずっと貧弱なまま、特に強くもない公立高校だったから3年でかろうじてレギュラーは取れたけど、それでも主要メンバーとは言い難かった。
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