吾輩は幽霊である

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 いきなりだが、俺の自己紹介をさせてもらおう。  名前は秘密。本名を隠さなければいけないからだ。これには訳があるが、一般人に易々と話すわけにはいかないのだ。  年齢は、16。高校一年生。精神年齢は高い方だと思っている。  好きなことは、コーヒーをブラックで飲むこと。心が落ち着く。まあ、周りの人間はまだお子様なので、ホットミルクなんてものを飲んでいるらしいが。  俺は、一人でいるのが好きだ。俺は天才だから、周りの人間が鬱陶しく、程度の低いものだと思えてならないのだ。だから、昼休みはいつも自分の席で静かに本を読んでいる。  読んでいる本は、大体ドエトエフスキー。まあ、難しいから、俺みたいな天才じゃなきゃ理解できないだろうな。  こんな難しい本を読んでいる俺を、周りの奴らはどう思っているのだろう。 「普段はおとなしいけど、キレたら怖そう」「周りの人間と群れないなんてかっこいい!」  そんなことを思っているのだろう。  俺はお前らみたいなレベルの低い人間とは違うのだ。頭が良くて、運動神経が抜群で、何より顔がいい。  天に選ばれし人間とはまさに俺のようなことなのだろうな。  俺は、平凡だが平穏な、そんな毎日を送っていた。  ──だが、俺は最近一つ悩みができた。病気にかかってしまったのだ。  俺にはわかる。  この病気が進行するほど、俺から感情というものが消えていく──!  そうか。俺はこのまま闇の眷属(ダークファミリア)に命を喰われてしまうのか。感情が消え去って、動くだけの絡繰人形(マリオネット)のような人生を送らなければいけないのか。    どうせこのまま感情が消えて人間でなくなるのなら、いっそ俺はクラスの奴らにしらしめてやろう。  俺はお前らのような凡人と違う、特別な人間だと言うことを。  そう決意した瞬間、俺の頭の中に素晴らしいアイデアが次々と湧いてきた。俺が特別な人間だと知らしめるための、完璧な計画。  まず、授業中に先生に舌打ちする。「おい、つまんねー授業だなぁ?」そうすれば、周りの人間は皆こちらを見るだろう。 「俺は知能レベルがこんな奴らとは違うんだよ。もっと俺の知能に見合うような授業をしてくんねーと困るだろ?」  そうすれば、周りの人間はこう思う。 『先生に反抗する勇気があるなんて、カッコいい』『きっと、頭がとんでもなくいいんだろう』  やべー、俺って超イケてんじゃん。  思わず不敵な笑みが漏れる。「くっくっく」と、小さな笑い声をだす。  さあ、この計画をいつ実行しようか。楽しみで仕方がない。  
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