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Day 3
此処が何処か分からなかった。
分からない程、遠くを目指して走っていた。
いつも決まったルーティンの生活。その中で走るなんて行為は1ミリも存在していない。それを今、全力でしている。
走って切る空気は冷たく、していたマスクを外さなければ息が出来ない。動かない右足を腕で引っ張るようにして、それくらい僕は必死で走っていた。
何処をどう走ったか覚えていないが図らずも人気のない公園が見えた。
薄暗く、普段なら決して使わない公衆トイレへ
一目散に入り込んだ。一心不乱に手を洗う。赤黒くおぞましい色をした液体を必死で流す。
さっきまで気付いていなかったが手が大きく震えている。何とか止めようとするが、余計に震えが止まらない。
何とか綺麗になった手で蛇口を閉めた。ズボンの両脇で手を拭く。割れた鏡に映る自分の顔を見る。
ーーー終わった。
全てが終わった。自分の人生そのものが。
ずっと終わらせたいと思っていた。思っていたがこんな形で終わるなんて思っていなかった。
何故涙が流れているのか分からない。未だ震える手で顔を覆い隠すようにしてその場にしゃがみ込んだ。
これからどうすればいいんだろう。
これから、一体、どう、すればーーー
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