第2話 かわいい子にメスガキは上等すぎる

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第2話 かわいい子にメスガキは上等すぎる

 放課後は喫茶店でバイト。  店内には店長の他に、バイト店員である私とタケルがいた。  だけれどはっきり言って、ヒマすぎるこの店に店員はふたりもいらない。  そうだとしても、タケルがシフトを入れた時には私も一緒に入ることになっている。  この子をひとりにするなんてありえない。  ピロリとスマホでタケルを撮る。  テーブルを一生懸命拭いている姿があまりにもかわいいからだ。  特に汚れているわけでもなく、私なら五秒で終わらせるような作業を、タケルはたっぷり三十秒以上かけてやる。  それほどきれい好きだから? 丁寧な仕事を心がけているから?  そうではない。  単に鈍くさいのだ。  またピロリ。  鈍くさいくせに馬鹿真面目な仕事ぶりがかわいすぎる。  とはいえ、放っておいたら永遠の時が必要だ。  今日の分の画像は十分確保できたので、そろそろ疲れが見える幼馴染みに声をかける。 「タケル、もう十分だろ。それくらいにしておけ」  言われたタケルは手を止めて、上目遣いの媚びを寄こしてきた。 「きれいになったかな?」 「ああ、なった。よくやったな」  ぱちぱちとするまばたきがかわいすぎる。  テーブルなんか見る暇はあるわけがなかった。  タケルが達成感ににこにこしながら小走りで側までくる。  思わず抱きしめたくなるが、カウンターの中にいる店長の存在が邪魔すぎた。
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