消えたメロディ、電子の海

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 昼休み、僕はコンビニで買ったおにぎりを食べながら裂ケルの行方について検索していた。もちろん彼の曲を聴きながら。 「【悲報】裂ケル、姿を消す」 「ネットの作曲王、行方不明か?」 「裂ケルさん帰ってきてくれ」  そういった記事タイトルが目に付く。そんなときだった。 「裂ケル死亡説」  嘘だ。  頭ではそう思いながらも、指はその記事をタップしてしまう。  要約すると、裂ケルが死んだから身内が全て削除したのではないかという内容だった。 「嘘だ……」  僕の独り言は昼休みの雑音にかき消される。  そんなことないだろう。そんなこと、ないだろう。そんなこと……。  おにぎりを食べる手が止まる。  コメントを見る。 「裂ケルが死んだはずないだろう!」  そうだ。 「あの人は絶対帰ってくる」  そうだ。 「この記事どおり死んじゃったんじゃない? 音沙汰ないし」  ……。 「コイツ元から嫌いだったからせいせいしたわ」  は? じゃあコメントすんなし。  僕は一瞬怒りを覚え、それから冷静になって、つらくなったからサイトを閉じた。  裂ケルが死んだなんて、信じたくもない。きっとさっきの記事を書いた人は頭がおかしいんだ。  時計を見ると、昼休みが終わろうとしていた。僕はスマホをしまい、急いでおにぎりを食べた。
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