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十年後。
私は震える指でスマホをタップした。
「はい、もしもし」
電話に出たのはあのカエルに違いなかった。
「先生。今度会ってくれますか」
「ということは、ついに」
「はい、先生を超えました」
誇らかに、でも幸福感に満ちて私は答えた。
卒業のとき、私はカエルに誓ったのだ。「数学者になりたい」と。
「本当に『カエル退治』をしたいのなら、俺を超えろ。待っててやる」
私は黙ってこくんと頷いた。
今度私は新しい論文を発表する。
書くことは決まっている。
カエルの教え、それに決まりだ。
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