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翌朝教室に行くと、茉莉ちゃんが寄ってきた。
「どうだった?」
「何が?」
「カエルとの逢瀬」
私は顔が熱くなった。
「やめてよ。そんな言い方」
「ごめん。でさ、どうだった?」
「別に。カエルの悪行は許せないってはっきり言ってやった」
思わずついてしまった嘘に、自分でとまどい動揺した。
「ふーん」
茉莉ちゃんは納得がいかないように中途半端な唸り声をあげる。それから話頭を転じて、
「侑子ちゃんなんてさ、夕べ徹夜で数学の宿題やったってさ。現金よね、あの子も」
侑子ちゃんのことを笑えなくなっている自分に気づいた。
昨日までのカエルへの敵愾心が少し緩んでいる。まずい。引き締めねば。
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