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カエルが教室を出ていった。
とたんに教室内が蜜蜂の園になる。
「何あれー? カエル、むかつく」
「侑ちゃん、大丈夫?」
「カエル、あそこまで言うか?」
侑子の周りに人だかりができる。
私は知っている。確かに侑子ちゃんはこの間公言していた。
「私、私立文系ってもう決めてるしぃ。数学なんてかったるい」と。
でも、それとこれとは話が別。
わが校は「自由な校風」が売りの伝統ある女子高校。私たちの居心地のいい園を脅かされてはたまらない。
「私、いいこと思いついちゃった」
思わず言うと、そこにいる全員の視線が私に集まった。
「どうするの? 美緒」
「目には目を、歯には歯を!」
覚えたばかりのハンムラビ法典を唱える。
「つぎの授業を楽しみにしてて」
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