17人が本棚に入れています
本棚に追加
とにかくねちねちしている。
しかも、なまじビジュアルがいいだけ質が悪い。
口をついてでるのは暴言ばかり。「バカか」「恥ずかしくないか」「泣いてごまかそうって魂胆は見え透いている」。
眉一つ動かさずに情け容赦なく攻めてくる。しつこい、長い。侑子ちゃんで泣かされたのはもう十四人目。泣いても手を緩めることはなく、二十分でも三十分でもいたぶりつづける。
「こんなんじゃ、まともな授業にならないよ」
連休前に一度、茉莉ちゃんが職員会議に向けて私を誘ったことがある。
「一緒に直訴しにいこう」
ところが、窓の隙間からそっと覗いた職員室のようすを見て、私たちは絶句した。
カエルはにこやかに周囲の先生たちと談笑している。自然でやわらかい笑顔。女性教師たちは、端から見てもめろめろだ。それだけじゃない。厳しいことで知られる歴史のおじいちゃん先生も、相好を崩して輪に入っている。
情けない話だが、私と茉莉ちゃんはその雰囲気で早々に腰砕け。直訴状をひっこめて退散した。
そして悟った。
いつかは私たちが、カエルの化けの皮を剝がさなければならないということを。
最初のコメントを投稿しよう!