カエル退治

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「まあ侑子ちゃんのああいうところはみんな好きじゃないけど。でもね、カエルって市長のご子息だって知ってた?」 「へ?」 「侑子ちゃんの親が教えてくれたんだって。それに国立の大学院まで行ってて、めちゃくちゃ頭いいらしいよ。高校教師なんてやってる人じゃないって」  茉莉ちゃんは言葉を選んでいるが、私はだんだん胸の辺りがむかむかしてきた。 「じゃあ、うちら泣き寝入りするのが正しいっての? 市長の息子だから? 学歴がすごいから?」 「私に食ってかからないでよ。ともかく侑子ちゃんとしてはことを荒立てたくはなかったみたい」  お腹から空気が抜けたようだ。  ばからしい。でも私は、何も侑子ちゃんのためだけにやったわけではないのだ。 「うん。ご忠告ありがと」  茉莉ちゃんにも若干嫌味を込めた言い方をしてしまった。 「5時からカエルに会うんでしょ。突っ張りすぎないで」  この子はこの子なりに私を心配しているのは分かった。でも、そう言われるとますます逆バネが働くのが私、佐久間美緒だ。
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