別れの時

1/1
前へ
/8ページ
次へ

別れの時

そうするうちに、遂に転校と称して別れの時がきた。 智也が私に選別に戦隊ヒーローのDVDをもってきた。 「これ見て地球防衛隊思い出せよ!」 「これは……いいのですか?」 太郎は跳び上がり喜んだ。 「ありがとうございます。これで研究できます」 鼻が何だかツンとする。目が潤んで見えにくい。 目から水もでてきた。 ーーこれは何だ?胸も苦しい。 智也に肩を叩かれる。 「太郎悲しくても、涙流すな!」 太郎は智也の言葉に驚く。智也も目の奥には(ひかる)ものが見えている。 ーーこれが涙?私は悲しんでいるのか? 太郎は、人間の感情表現を体験した事に感動する。 ーーこんな気持ち初めてだ。 次に圭がオタ芸に使うペンライトをくれた。 太郎はまた泣きそうになっている。 「これ使って踊ればオタ活できるから!」 「ありがとうございます」 圭に習ったオタ芸の思い出がよぎる。 ーー私に奇声があげれるだろうか…… 太郎は想像するとおかしくなった。 「何笑ってんだ。たまには大きい声だして、身体激しく動かして踊ればストレス発散できるぞ!」 ーーストレス?そんなもの我々にはないが、快適になれるらしいから帰ってやってみよう。 圭に言われ太郎は、涙目で頷く。 最後に秋空が、太郎の肩に手を置き話しかけた。 「お前は俺らの仲間だ!オタクはバカにされたりするが、弱くない!喧嘩が弱くても強い奴が1番強いんじゃない。偉いんじゃない。皆んなネットワークで繋がっていて、1番弱い奴が強い!進化論だ。覚えておけよ」 ーーゴットハンドだけじゃなくゴットマウスだな。 秋空の言葉は俺に響いた。 ーー太郎は自分の惑星に帰り地球の報告をした。 戦隊モノDVDやヲタ芸をみんなに見せると、皆んなが地球人を怖がった。 我々ではチカラ不足だと結論にいたり、地球征服 計画は消滅した。 オタ芸と戦隊モノは、我々の惑星で大流行した。 オタク研究室は、本当に地球防衛をしていた。 俺は地球を後にした今でもまだ、やつらに心を奪われている……。 「ナカマ……」 この言葉は心が温かくなる。 俺の心は地球人に征服された。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加