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別れの時
そうするうちに、遂に転校と称して別れの時がきた。
智也が私に選別に戦隊ヒーローのDVDをもってきた。
「これ見て地球防衛隊思い出せよ!」
「これは……いいのですか?」
太郎は跳び上がり喜んだ。
「ありがとうございます。これで研究できます」
鼻が何だかツンとする。目が潤んで見えにくい。
目から水もでてきた。
ーーこれは何だ?胸も苦しい。
智也に肩を叩かれる。
「太郎悲しくても、涙流すな!」
太郎は智也の言葉に驚く。智也も目の奥には光ものが見えている。
ーーこれが涙?私は悲しんでいるのか?
太郎は、人間の感情表現を体験した事に感動する。
ーーこんな気持ち初めてだ。
次に圭がオタ芸に使うペンライトをくれた。
太郎はまた泣きそうになっている。
「これ使って踊ればオタ活できるから!」
「ありがとうございます」
圭に習ったオタ芸の思い出がよぎる。
ーー私に奇声があげれるだろうか……
太郎は想像するとおかしくなった。
「何笑ってんだ。たまには大きい声だして、身体激しく動かして踊ればストレス発散できるぞ!」
ーーストレス?そんなもの我々にはないが、快適になれるらしいから帰ってやってみよう。
圭に言われ太郎は、涙目で頷く。
最後に秋空が、太郎の肩に手を置き話しかけた。
「お前は俺らの仲間だ!オタクはバカにされたりするが、弱くない!喧嘩が弱くても強い奴が1番強いんじゃない。偉いんじゃない。皆んなネットワークで繋がっていて、1番弱い奴が強い!進化論だ。覚えておけよ」
ーーゴットハンドだけじゃなくゴットマウスだな。
秋空の言葉は俺に響いた。
ーー太郎は自分の惑星に帰り地球の報告をした。
戦隊モノDVDやヲタ芸をみんなに見せると、皆んなが地球人を怖がった。
我々ではチカラ不足だと結論にいたり、地球征服
計画は消滅した。
オタ芸と戦隊モノは、我々の惑星で大流行した。
オタク研究室は、本当に地球防衛をしていた。
俺は地球を後にした今でもまだ、やつらに心を奪われている……。
「ナカマ……」
この言葉は心が温かくなる。
俺の心は地球人に征服された。
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