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「来週の土曜って暇?」  気づけば5月も終わって6月。  曇り空の日が続き、何となく自分の気分も下がる。  授業が終わり放課後に入ってすぐ。  東は俺を逃がすまいと強めの力で俺の肩を叩いた。 「忙しい」 「嘘つけ!」 「嘘じゃない」 「じゃあ何があんの」 「バイトでーす」  はあ?なんて不満気な表情を無視して俺はリュックに荷物を詰める。  バイトがあるのは事実だ。  それに土曜のうちに買い物とか掃除とか、諸々全部済ませて日曜は休みたい。  今週に限らず毎週そんな感じだ。 「じゃあいつが暇なの」 「お前に構ってる時間はどこにもないかな」 「何でだよ!」  ぎゃーぎゃーと喚く東を無視して俺はリュックを背負う。  席を立つとじゃ、と東の横を通り過ぎ…ることは出来なかった。 「こらこら待て、一緒に帰るぞ」 「…はよしろ」  嫌だと言ってもついてくるし、抵抗するのは無駄だと知っているから何も言わない。  はあ、と呆れて溜息を吐くのと同時に、クラスの女子が東ー!と名前を呼ぶ。 「今から時間ある?」 「え?いや…」 「あるだろ」  なぜか渋っているような東に俺はそう吐き捨てる。 「じゃあさ、ちょっとでいいから時間くれない?」  こっちに視線を向けてくる東に溜息を吐いて、いや行けよと言った。 「…分かった。支倉待ってて」 「はあ?やだよ」 「待ってて!」  釘を刺すように言われてしまって、しょうがなく分かったよと返事をする。  ごめん、借りるねー!なんて言いながらその女子は東と一緒に教室を出ていった。  俺は1度立った席に座ってスマホを弄る。  今頃告白でもされているのだろうか。  まあ確かにあいつは顔立ちも整っているし、コミニュケーション力も高くてフレンドリーで誰にでも優しい。  おまけにDomだし、それなりにモテるだろう。  あの女子とくっついて俺から離れてくれないかな。  そう思うけど無駄だろう。  これまでも何度かこういうことがあったが、その度にあいつは告白を丁重に断って、その後は俺と一緒に帰る。  お決まりの流れだった。  このまま隣にいたらいつか背中を刺される日が来るのでは。  いい加減俺から離れてくれよ、なんて思いつつ、俺は机に突っ伏した。
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