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 東の見たがっていた映画は海外のアクション映画だった。  字幕でいい?と東に聞かれて俺はこだわりなんて何も無いから字幕でその映画を鑑賞する。  映画はCGのクオリティもアクションの迫力もすごくて、ストーリーも含めてなかなか面白かった。  2時間弱の映画を見終える。 「めっちゃ面白かったな〜!」 「うん、良かった」 「特にあそこのさ…」  なんて東が話し出すから俺は聞き役に徹する。  映画は面白かったし、それに対して不満も無いし俺も促されて自分の思ったことを言う。 「うわ〜、俺もっかい見たいかも」 「…いや、次は付き合わないからな」 「はあ?何でだよ」  ぎゃーぎゃーと騒ぐ東を横目に、俺たちは昼食を食べる為にフードコートへ向かった。  昼食とは言ってももう14時前だ。  映画の途中で東の買ったポップコーンをつまみ食いしていた(許可は貰ったけど)とはいえお腹が空いた。  ファストフード店でハンバーガーのセットを買って2人で席に座って食べ始める。  食べている最中にも東は映画の感想を述べていて、俺は聞き役になる。 「…お前映画好きなの?」  一段落した後にそう聞いてみる。  感想を話す東があまりにも熱心だったから、つい聞きたくなった。 「うん、好き」 「へえ、意外」 「何でだよ」 「…何となく?」  んだそれ、そう言って東が笑う。  その後何かを喋る話題もなくて、俺は黙々とハンバーガーを食べる。 「…なあ、おすすめ教えたら見てくれる?」 「…気が向いたらな」  やった、なんて喜ぶ姿にふっと笑う。  なんか子供っぽいな。  口にするとうるさそうだから声にはしない。 「じゃあさ、また一緒に見に来よって言ったら?」  そんな質問に思わず思考が止まった。  もう1回、なんてあるわけない。  そう思っているはずなのになかなか言葉が出ない。 「…それは、分かんない」  捻り出した言葉は自分でもよく分からない。 「まあじゃあ、気が向いたらでいいからさ」 「…そのうちな」  曖昧な返事で濁して、俺は残っていたポテトを貪った。
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