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「早く出ていきなさい」
プレイが終わると汚いものを見るような目で俺を見る。
言われなくても出ていってやるよ、強く言い返すことは出来ずに小さく返事をすると、父親の部屋から逃げるように出ていく。
風呂に入り直したいけどそんな気力が湧かない。
俺はタオルを水で濡らして、軽く体を拭く。
そうしていると震えが止まらなくて、大丈夫だと自分を慰めるように、抱き締めるように腕を組んだ。
さっさと体を拭き終えて、父親に会わないように早足で自室に戻る。
勉強を続ける気も起きずに、ベッドに潜り込んで目を瞑る。
そんなときにも震えは止まらずに、自分を守るように丸くなる。
あともう少し、あと2年だけ我慢すれば…。
この生活からも解放される、自由になれる。
早く眠ってしまいたい、その一心で俺は眠りについた。
起きたのは、朝5時前。
欲求不満の慢性的な寝不足のおかげで今日も満足に眠ることも出来ずに、俺は仕方なくベッドから下りる。
ぼんやりとしながら自室からリビングに向かって階段を降りる。
洗面所で顔を洗って、髪を整えた。
あの人が起きるまではまだ1時間ちょっとあるから、そんなに急がなくて大丈夫。
作りたいだなんて思わないけれど、作らないと怒られてしまうから自分とあの人、2人分の朝食を作る。
ご飯と味噌汁、それからスクランブルエッグ。
パパっと作り終えて、ダイニングテーブルに並べてラップをかける。
そうしている間も欠伸は止まらないけれどいつものことだ。
二度寝もしたいけれど、眠気があるのにそれも出来ない。
俺は一旦自室に戻って、椅子に座って参考書を開いた。
昨日やろうと思っていたところ。
昨日のアレのせいで予定が狂った。
はあ、なんて出そうな溜息を抑えて俺は勉強を始める。
タイマーを40分後に鳴るようにセットして勉強に集中する。
暫くすると、廊下の方から扉の開く音が聞こえた。
それとほぼ同時に、タイマーを設定していたスマホが振動した。
もうそんな時間かと教材を片付けてリュックにしまいこむ。
急いで自室を出てリビングに向かった。
その後は、いつものように2人でご飯を食べて、同じ時間に家を出た。
俺は駅まで徒歩で向かって電車を使って学校へ登校した。
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