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「…支倉、やっぱりSubなんだ」  体が固まって動かない。  座り込んだまま立つこともできずにいると、目の前に東がしゃがんで顎に手を添えて無理やり目線を合わせさせられる。 「な、なんで…」 「ん?」 「お、おま…Dom…?」 「うん、そうだよ」  どくどくと鼓動が早くなるのがわかる。  どうしよう、Domだ。  怖い、そんな感情に支配されてしまう。 「別に殴ったり犯したりしないよ、そんな体強ばらせなくていいのに」  目を逸らしたい、この場から逃げてしまいたいのに体がどうしても言うことを聞かない。  どうしよう、パニックになりそうになるのを大丈夫だと自信を落ち着かせる。 「はい、水。薬飲みな」  しゃがみこんでしまった弾みで落としてしまったペットボトルを拾って手渡してくる。  それをぼんやりとしながら受け取る。  受け取ってからも上手く体を動かせなくて、気づけば自然に視線を下に向けていた。 「…飲まないの?」 「…あ」  絞り出た声は小さな呻き声のようなものだった。  そのまま返事を出来ずにいると、東は俺の手から抑制剤を奪って、容器から取り出して何と口の中に含んだ。 「な…、にして」  驚く俺を横目に水を口に含んで、そのままあろうことか俺の唇を奪った。 「ん、ん〜〜ッ!」  反射的に東の胸に手を押し付けて体を離そうとするけど、東の力が強くて離れることは出来ない。  口の中に水と薬が入ってきて、そのまま飲み込むしかなかった。  暫くすると東の唇は俺の唇から離れていき、俺は驚きで呆然と東を見つめることしか出来ない。 「飲めた?」 「え、あ…うん…」  腰が抜けたまま床にしゃがみこみ、呆気にとられていると遠くの教室から昼休みを終えるチャイムが聞こえる。 「あと5分で授業始まるじゃん。ほら、教室戻るぞ〜」  ぐっと腕を引かれて、俺は何とか東の力を借りて立ち上がる。  それでも俺はその場から歩き出せない。  だって目の前のこの男はDomだ。  そう考えるだけで足がすくんで少しも動けない。 「支倉?」 「あ…いや、何でも、無い」 「何でも無くはないだろ。体調悪い?」 「いや…別に。大丈夫だから先に行ってろ」  ぐいっと自分から東の体を押して、俺は目を逸らす。  東は何も追求せずに、先に行ってると言ってその場を去っていった。  俺は本鈴が鳴った後も、その場を動けずにいた。
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