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皺一つない紺色のスーツに白シャツ、カチッと締められているネクタイ。
髪は軽くパーマがかかっていて女子社員から好評だ。ちなみに私もとっても好き。
チクチクした髭もなく脱毛でもしてるのか?と問いたくなるほど綺麗な肌に口元のほくろが色っぽくて、それも好き。
アーチを描いたようなくっきりとした目、ほどよく高い鼻に薄くて健康的な赤色をした唇も魅力的で、好き。
トータル、全部、好き。この人が、咲間聖吏のことが世界の誰よりも好きだ。
「めちゃくちゃ睨まれてる気がするんだけど、まさか怒ってるわけじゃないよな?」
「睨んでませんし、怒ってません」
「よかった。てか、さっきの真鳥、綺麗で見入っちゃった。もっかい見せてよ」
「さっきの、とは?」
「こうやって、空に桜かざすやつ」
咲間さんは背後から私の腕を掴んで「さっきの真鳥」を再現しだした。布越しだというのに彼の熱に犯されそうだ。落ち着け私。息をしろ私。
桜が夜空に浮かぶ。さっきと同じ光景なはずなのに、咲間さんがいるだけで全くの別世界のように見えて、胸がキラキラとときめいた。
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