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平日だというのに賑わう店内にびっくりしながら水滴がたっぷりとついたジョッキを目の前に座る人物と合わせる。
なぜか咲間さんと会社近くの大衆居酒屋へとやってきた私。なんでも、今日入っていた予定が急遽取りやめになって暇になったらしい。そこにちょうど私がいたので「飲みに行かない?」と。
たとえ暇つぶしだとしても2人で飲みに行けることは奇跡に近いので、喜びを噛み締めてジンジャーハイボールをググッと流し込んだ。
「写真とか昔から苦手でさ、でも、ほら、同期のために頑張ったわけよ」
話題は昼間のチェキ。
私が所属する経理部の先輩が寿退社をされる。先輩の同期、咲間さんもその一人なんだけど、ささやかなお祝いということで経理部と同期、他に交流があった人たちのチェキを撮ってアルバムか何かに貼るのだと。
『——真鳥さん、もう少し笑えないかな』
ふと思い出して唇を噛む。
精一杯、笑っているつもりだったけど、周りから見たら真っ白なキャンパスに真っ白な絵の具を塗ったような、そんな感じに見えたんだろうな。
「真鳥のチェキ見たよ」
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