告白

6/11
前へ
/159ページ
次へ
「真田さん」    真田の背中に声が飛んできた。  彼がハッとして振り向くと、そこにメガネをかけた三つ編みの江藤ゆみがいた。  一瞬、幻かと思ったけれど、確かに彼女だった。 「ごめんなさい、遅くなって……。お洋服、何にしようか迷っちゃって……」 「服……?」  息を切らしながら近づく彼女の格好を見て、真田は困惑した。  彼女が着ていたのは高校の制服だったのだ。 「可愛いお洋服、一着もないんです、私。だから結局制服になっちゃいました」  彼女は恥ずかしそうにうつむく。  相変わらず変な女だ。  そう思いながら、真田は泣きたくなるほど胸が熱くなってきた。  彼女に会うため、必死で頑張った。  今日という日が報われた。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加