純情お嬢様、宮藤愛姫は幸せな夢を見る

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純情お嬢様、宮藤愛姫は幸せな夢を見る

 ◇  やっぱり、自分の家のベッドが一番気持ちいい。  朝の光を優しく遮る天蓋レース付きの、中世ヨーロッパのお姫様が寝ているようなベッド。一目見た時から好きになって、買ってくれたパパに感謝した。  私は世界一愛されていると思った。  学校に通えなかった不自由さと、毎日家族と一緒にいられない寂しさはあったけど、それでも欲しいものは全部あったし、わがままを言える執事もいた。  これ以上幸せなことなんてない。  そう思ってた。昨日のあの瞬間までは。  ……それとも、あれは夢だった?  知らない間に睡眠薬入りのお酒を飲まされて頭がボーッとしていたから、夢と現実の区別が曖昧だった。記憶も一部抜け落ちているところもある。  例えば、あの後私がどうやって家に帰ってきたのか、とか。  頭を怪我した矢野は無事だったのだろうか、とか。  それから……真田さん。  私と真田さんは……どうなったんだっけ?  私はベッドの中でモフモフの掛け布団をにぎにぎしながら、昨日のことを思い出してみた。   
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