純情お嬢様、宮藤愛姫は幸せな夢を見る

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 ──真田さんが、私の執事⁉︎  私の顔から熱い炎がボッ! と出た。 「えっ、えっ、えええええっ、そんな……」 「嫌か?」 「い、嫌じゃありませんっ……! むしろ、めちゃくちゃ嬉しいっていうか……!」  首がちぎれそうなほど横に振ると、真田さんはほっと安堵したような優しい笑みを浮かべた。  そして、改まった態度で私の前に片膝をついて跪いた。  まるで姫に忠誠を誓う美しい騎士のよう。  私を見上げる凛々しい表情に、私の心臓がドキッと跳ねる。 「お嬢。今まで、ずっとお嬢のことを誤解していて……本当に悪かった」 「真田さん……」  私は慌ててベッドから降りて、真田さんの前にぺたんと両膝をついた。 「こちらこそ、今までいっぱい騙していてごめんなさい!」  土下座で謝ると、「やめてくれ」と焦った声がした。 「もうそのことはいいから、顔を上げろ。いや、上げてくれ……上げてください」  真田さんが必死で私に敬語を使おうとしている。  慣れない言葉遣いにギャップ萌えしちゃって、死にそうです。  そっと顔を上げると、真っ赤な顔をした真田さんが目の前にいた。  私に照れているの? 必死な感じが可愛すぎてもうダメ。死にそうです。 「これからは、誠心誠意を込めてお嬢のために働くと誓う。身も心もお嬢のために捧げる。それで……俺のこと、許してくれるか?」 「ゆっ! ゆゆゆゆゆるす、許します! 許しますです!」 「俺に何でも命令してくれ。じゃないと俺の気が済まねえんだ。矢野みたいにはいかないだろうけど、俺にできることなら何でもする」  ……もう死んでいいですか?  胸に矢がグサグサ刺さっちゃって、出血多量でヤバいんですけど!  呼吸困難になりながら、私は喘ぐように口を開いた。 「じゃあ……ひとつだけわがまま言ってもいい……ですか?」
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