お嬢様 エピソード0

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お嬢様 エピソード0

 私、宮藤愛姫(くどうえみ)真田陽(さなだよう)を下僕にしようとしている経緯(いきさつ)について。  それを語るには、私の生い立ちから軽く説明しなければならない。  資産家の一人娘として生まれついた私にとって、現在までの十五年間は苦難の日々だった。  価値観の違いから幼稚園児にしてすでに孤立するなど軽いイジメに遭い、一人だけ車を使って通学していた小学生時代にはクラスメイトからだけでなくその保護者からも贔屓だとクレームがつけられ、歩いて通学しようとすれば誘拐犯にたちどころに狙われた。 「学校に行けないなら学校の方からこっちに来ればいいじゃない!」  うっかりそんな発言をした結果、私は通学を諦めさせられ、家の敷地内に建てられた学校──通称・寺子屋にて家庭内学習をさせられることになってしまった。    専門教科の家庭教師たちが代わる代わる宮藤家に通ってくる中、そこから一歩も外へ出られない不満を次第に募らせた私は、高校受験の年を迎え、ついに絶対君主の父に向かって反逆を仕掛けた。 「高校は絶対にお嬢様学校じゃない普通の共学の高校に通うから!」
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