誤解しないで

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誤解しないで

 私は思わず顔から転びそうになった。 「い、いません!」 「返事してるじゃねえか。ちょっと話があるんだ。入っていいか?」  待って。  今、私、まだみつあみでメガネの貧乏女学生制服を着た江藤ゆみそのものの格好しているんだけど! 「だ、ダメ! 入ってこないで! 矢野、何とかして!」 「はいはい」  私は慌てて近くにあったベッドの中に逃げ込んだ。  とにかく制服、脱がなきゃ。  ベッドの中で髪を解き、制服のブラウスのボタンを外す。  その間に、矢野がドアの前で真田さんと応対する声が聞こえた。 「ただいま姫は腹痛でお休みになられています。ご用件は私が伺いましょう」 「腹痛? 本当か? さっきの声は元気そうだったけどな」 「私が嘘をついているとでも?」 「あんたの話はどうも信用できねえ」  真田さんが今にも入ってきそうでドキドキしちゃう。  脱いだはいいけど、代わりに着るものがないから下着姿でベッドに隠れている。  この状況、すっごくヤバい。 「とにかく、後にしてくださいませんか?」 「怪しいな。何を隠してるんだ」 「あなたには関係ないことです」 「関係ねえなら隠す意味もねえだろ。説明しろよ」 「デリカシーのない人ですね。姫が腹痛だと言ったら腹痛なんです。ここだけのお話ですが、最近姫はお通じが悪いそうで、お食事のたびに苦しんでおられるのです」  矢野のバカーっ!  つくならもっと恥ずかしくない嘘にしてよーっ!  便秘のお嬢様なんてカッコ悪いじゃないの! 「そうだったのか……」  素直に納得しないで、真田さん!  ああ、出て行きたくてウズウズする!  ベッドの中で布団を蹴ってジタバタしていたその時だ。 「じゃあ、便秘に効くツボを教えてやる」 「えっ」  真田さんの真面目な声がしたかと思ったら、彼が唐突にドアを開けて中に入ってきた。  えええええーっ!!  ちょっ、待ってってば!!
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