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「雅、明日プロポーズの日だよ?」
あの日、すっかり誕生日を思い出した私は、サプライズでなくなったことを冷やかすように‘明明後日だよ’‘明後日だよ’と連日言っていた。今夜はお泊まりでない日だから電話で話している。
‘指折り数える楽しみがなくなって悪いな’
「次にまた何か数えるよ。あ、今日はお兄ちゃんの誕生日なの」
‘今日?’
「そう。1日違い」
‘すごいな’
「毎年ケーキを2日続けて食べてたよ」
‘まとめてじゃない両親を尊敬するな’
「一度もなかったね。小さいケーキだけれどお兄ちゃんのケーキと私のケーキは別々に用意してくれた。さっきお兄ちゃんに電話したの」
‘そうか’
「でも…多分彼女と一緒にいたね、あれは」
‘どうして分かる?’
「‘おめでとう’って言っても、何を言っても、返事が短かったから何となく…別にいいけど‘明日私はプロポーズされるから電話いらないよ’って言って電話をきったら、すぐに何度もかかってきて面倒だからスルーした」
‘今は結愛の話中が続いてるってわけか…気の毒だな’
「そう?うるさいなら、このあと電源切って寝ようかな?」
‘電源切るのは無し。俺とも連絡が取れなくなるからダメだ’
「分かった…じゃあ…‘睡眠を妨げるなら着拒する’って送っておく」
‘頑張って一人で寝ろよ。明日は一緒にな’
「ふふっ…イエスかノーで変わるんじゃない?」
‘ノーでも付き合いをノーと言われるわけじゃないんだから一緒だ。何も変わらない。安心して、結愛’
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