episode⑥

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12階の雅の部屋の玄関ドアを開けると 「ただいま~」 「おかえり、お疲れ」 と言いながら靴を脱いでリビングのドアを開ける。 「ぅわぁ…ぇえっ…すっご…雅が全部したの…?」 「俺しかいないだろ?」 彼は立ちすくむ私の後ろから腕を回すとチュッ…と耳の辺りにキスをする。 部屋の壁には‘HAPPY BIRTHDAY’とアルミバルーンが飾られている。他にも大小いくつものハートやクレセントのバルーンが赤やローズゴールドで飾られ、さらにLEDライトが光るというゴージャスさだ。 「興奮するね…ありがとう、雅。大変だったでしょ?」 「分刻みに緻密な計画を立てて動いていたから余裕」 「さすがだ…完璧」 「食事もここでな」 「うん、これを見ながらがいい」 「ステーキ焼くから、ちょっとだけ待って」 「これ眺めて待つよ。バルーンと戯れるのもあり?」 「あり。ただし、俺との戯れよりライトなものに限る」 「…逆に…バルーンと濃厚ヘビーな戯れってどんなの?」 「さあ?唇は許さない、とか?」 この空間でクスクスと二人で笑う…それだけでとても幸せだ。
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