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12階の雅の部屋の玄関ドアを開けると
「ただいま~」
「おかえり、お疲れ」
と言いながら靴を脱いでリビングのドアを開ける。
「ぅわぁ…ぇえっ…すっご…雅が全部したの…?」
「俺しかいないだろ?」
彼は立ちすくむ私の後ろから腕を回すとチュッ…と耳の辺りにキスをする。
部屋の壁には‘HAPPY BIRTHDAY’とアルミバルーンが飾られている。他にも大小いくつものハートやクレセントのバルーンが赤やローズゴールドで飾られ、さらにLEDライトが光るというゴージャスさだ。
「興奮するね…ありがとう、雅。大変だったでしょ?」
「分刻みに緻密な計画を立てて動いていたから余裕」
「さすがだ…完璧」
「食事もここでな」
「うん、これを見ながらがいい」
「ステーキ焼くから、ちょっとだけ待って」
「これ眺めて待つよ。バルーンと戯れるのもあり?」
「あり。ただし、俺との戯れよりライトなものに限る」
「…逆に…バルーンと濃厚ヘビーな戯れってどんなの?」
「さあ?唇は許さない、とか?」
この空間でクスクスと二人で笑う…それだけでとても幸せだ。
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