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グラスに口をつける前に、どちらからともなくチュッ…とリップ音を立てキスをしてから
「「乾杯」」
ともう一度グラスを合わせる。一口だけシャンパンを口にしてから私の頬を撫でた彼は
「もうすぐディナーだ」
とグラスを持ったままキッチンへ戻った。
カッコいい…雅のアンニュイな雰囲気プラス、シャンパンを飲みながら歩くのも、キッチンで飲みながら調理するのも全てにおいて彼独特の雰囲気を際立たせ、この世の何より美しい…と見惚れてしまう。
シャンパンのボトルが置かれた、ソファー横のサイドテーブルにグラスを置くと、バルーンのくねくねした紐を適当に掴んで引き寄せ、その紐に負けないくらいくねくねと悶える…コツッ…?
悶える私の左太ももの側面に何かが当たり視線を下げると…紐の1本に小さな箱がくくりつけてある。これって…くねくねと悶えていたのから一転して息を飲む私に
「結愛、悪いけど寝室見てきて。電気を消し忘れたかも」
とキッチンから声が掛かる。
「ぅ、うん」
そっとバルーンの紐から手を放して立ち上がりながら雅を見るが、彼は普通にシャンパンを飲み干したところだった。言われた通りに寝室の電気を確かめようとドアを開けるとすぐに明るさが漏れて来たので、消し忘れてるよ…とドアのすぐ隣の壁に手を伸ばす…が…
「っ…雅…雅ぃ、イエス…イエスだよ…」
ベッド横の壁には‘Will you marry me?’とゴールドのアルミバルーンが飾られていた。
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