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寝室の入り口に立ったままの私の肩に手を置いて、一歩部屋の中へ一緒に入った雅は小さな箱がくくりつけられたピンクのハートバルーンを手にしている。
バルーンも似合うよ…ボーッとそう思った私の前で紐をほどいた彼の手から離れたハートバルーンは天井へと上がり、雅は床に片方の膝をついた。
「結愛、俺と結婚しよう。俺は結愛の夫になりたい」
「雅…はい。お願いします…」
普通に答えるのが精一杯だった。結婚しようっていうだけでなく、夫になりたいって…私が彼を幸せに出来るようでとても心が満たされる。その満たされた心が満杯だと込み上げるものがあるわけで…短く普通に答えるのが精一杯だ。
彼が開いた箱はDiamante Kaiの物で…雅は私の左手を取ると薬指へそっとリングを通す。
「ん、ぴったりだな。思った通りよく似合う」
流れるようなフォルムが指先をしなやかに演出するリングは、センターのダイヤモンドに寄り添うようピンクダイヤモンドが配置されている。
「大人可愛い…だ…素敵」
「よし」
「ぅわぁ…っ」
雅が立ち上がりながら私を抱き上げたので、慌てて彼の首に腕を回すが部屋を出る時には片手を放して電気を消す。
「結愛、完璧。今夜はあのゴールドバルーンの下で愛させて」
そう言った雅は私を椅子に座らせるとチュッ…こめかみにキスしてキッチンへ入るとゆったりと微笑んだ。
「いい感じに肉が常温になった…今度こそ、肉を焼くよ」
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