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「うちの親は…あんな感じだったから、もう毎週末、がらがらに予定を空けてるだろうけど、雅のお父さんたちは急に会えるの?」
シンプルなイチゴのケーキはハート型で、どこまでも雅の準備が完璧だと思いながらふわふわの生クリームを堪能する。
「このケーキは実家の近くで買ったから、今日親には都合をつけてもらうように言ってきた」
「今日?おうちでお仕事されてるの?平日がお休みのお仕事?」
「歯科医」
「…誰が?」
「父さんが歯科医。開業歯科医って言えば分かりやすいか…歯医者が1階で、2階と3階が家になってる」
「すごいね」
「何が?」
「お医者さんって、なんかすごいイメージ…でも歯医者さんは…実は苦手だけど」
「俺も苦手。歯医者になろうなんて一度も思わなかった。とにかく来週土曜日オーケーだから」
「分かった。気合い入れておくね」
ふっ、と笑った彼は
「気合いは必要ないが…気合いを入れた結愛も可愛いから、それもいいかと思ってしまうな」
向かいから腕を伸ばすと、そっと私の頬を撫でた。
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