episode⑦

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「もう伝えている通りだが、結愛と結婚する。俺の誕生日に入籍」 「クリスマスじゃなくて?」 「ああ、誕生日」 「うちは大歓迎だが、結愛さんのご両親には挨拶をさせてもらわないと」 「今朝、結愛を迎えに行ったときに来週の土曜か日曜に予定すると伝えてある」 「ご希望は?」 「どちらでもいいと」 雅がそう答えるとご両親は呆れた様子を見せた。 「それじゃ、うちが優先のようで失礼だわ」 「本当にそうだね」 「いえ…両親ともに週末は休みですけれど、こちらの診療日…土曜日のご予定は聞いてくるって私が言ったんです」 「雅が知ってるだろう?」 「土曜は月末だけ診療なのは知ってる。だけど、たまにボランティア診療に行ってるだろ?」 「ああ…そうか。もう今年はないから大丈夫。土曜日のお昼にしようか」 「あたしも参加するわ。結愛ちゃんはお兄さんがいるでしょ?」 玲が羊羮と珈琲のあと、朝食なのかバナナを手に聞いてくる。 「うん、でも九州だから帰って来るのはお正月になるね」 「じゃあ、今回は7人だね。今日中に連絡する。結愛さんのご両親へも雅や結愛さん経由でなく、直接連絡させてもらうよ。電話ででもまずは早く挨拶したい」 初めての実家訪問はあっという間に終わり、雅と外に出るとぐぅーっと大きく伸びをした。 「疲れたか?」 「ううん、全然。ミッションコンプリートって思っただけ」 そう言って見上げた空はなんとか晴れたような色だったけれど、とても綺麗に見えた。
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