episode⑦

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「福袋、出すんですね…」 今日は咲哉さんだけの部屋でお手伝いをしながら資料を見る。 「一応な。各店舗メンズとレディースそれぞれ3袋のみ」 「合わせて…360袋ですか」 「この前の話にあったが、在庫整理もあってな。それでも価値を下げないギリギリの数だと思っている」 「価値を下げない…反対に、会社として社会貢献するというスタンスで在庫を少し処分出来ませんか?」 「例えば?」 「例えば…ひとり親や、奨学金を受けて東京で学ぶ大学生とか…そういう人のサポートと謳って‘Tシャツ半袖と長袖、3枚で2000円’みたいにして売る…予約してもらって、店頭で証明書を見せてもらって…」 「なるほどな。市役所出身の結愛らしい案だな」 そのまま仕事に戻った咲哉さんだが 「新年度4月初めに奨学金の大学1年限定福袋30をこの本店で受け渡し。ネットで先着順…男女比は問わずに、先着順で決まってから福袋を作る。5点入り5000円、定価40000円以上確約。どうだ?」 ‘どうだ?’と言いながら決定しているのだろう。 「いいと思いますけど、一ついいですか?」 「ああ」 「4月初めにっていうことは3月に申し込みですよね?」 「そうなるな。予告しておけば数分で完売だと思う」 「それはいいんですけど、奨学金には種類がいろいろあって確定に時間が掛かるものもあるみたいですから、その時期の販売で1年生限定というのはどうでしょう?受験の合否も最後の子はギリギリになるし…」 「それなら夏の企画にする。担当者は結愛な」 「へっ?」 「春に動け。それまでは新店舗もあるだろ」 「はい」 雅が私を乗せてくれた道にはずっと追い風が吹いているようだ。
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